Feuchtigkeit98% 絵に少量の文字を付け足して。
  • kasayoichi published a text post Vor 1 Woche
    「鍵を拾った」から始める200字作文

     鍵を拾った。玄関の壁のホックに掛けておいた鍵が、何かの拍子に落ちたのだ。普段は使われずに、ただ玄関のインテリアの一部にすらなっている実家の鍵だ。錆びついた鍵穴、開けると金切り声をあげる重いドア、その先にある暗い廊下、そして誰もいないダイニング。平常から互いに干渉の無い家族であった。そのうち私と兄、妹が家を出て、父が死に、母が残った。拾った鍵を手の中で転がしながら、実家へ向う。家主を失った古い館へ。

    #創作 #200字 お題 / 0 Anmerkungen
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  • kasayoichi published a text post Vor 3 Wochen
    Der graue Sommer

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     子供時代、私にとって、はたまた家族にとって外出とは徴兵された兵士が戦地に赴くかの如く背筋をはる行事であった。浮かれて我を忘れ楽しむことなど以っての外、何か一度粗相をすると激しく叱咤されその度に父の機嫌を損ねることとなった。日本中の子供が親に縋り付いて遠出をねだった大阪万博ですら、私にとっては苦痛な思い出しか残らなかったというのが良い例であろう。(初めての都会の空気と慣れぬ人混み、そして父の重圧に中てられた私は大いに体調を崩したのだ。)その原因は家長たる我が父であり、息子である私達兄弟三人はこの外出という至極荘厳な雰囲気漂う行事が嫌いになった。しかし私達が『楽しいおでかけ』の実現をあきらめていた中で、多少なりとも父の機嫌を損ねなかったことはないわけでもなく、比較的穏やかな『おでかけ』もいくつか記憶に残っている。

     夏のことであった。初夏であったのか残暑であったのかはたまた夏ではなかったのか、そのところ定かではないが海に行ったのだから暑い日であったのは確かだろう。天候はそれほどよくなかったような気がする。彩度の低い、静かな海であった。私が九つか十ほどの頃の、家族全員での『おでかけ』であった。母と兄二人、そして私、と父。父は相変わらず無地のホワイトシャツにスラックスというまこと海にそぐわぬ恰好であり、我々兄弟と母も海水浴をするわけでもなく、干潟を散策するだけ、という味気ないものであった。私は、当然はしゃぐわけでもなく、じいっと岩の割れ目や空を見上げて雲の動きでも見ていたことであろう。(子供時代の私は頭の良い兄達に比べ、何も考えていない、阿呆な餓鬼であった。)父が何をしていたのかは分からない。母は恐らく何をしていたか分からない父の傍で静かにしていたか、兄達の面倒を見ていたかのどちらかであっただろう。母はまこと父に従順であったが、母親として賢いとはいえなかった。

     小さい私は、空を見上げた。薄く、落ち着いた暗い青。海辺に特有の、生臭い、潮風が刈り上げた首筋を撫でた。隣に父がやってきた。生温い空気を運ぶ風の音が先程より大きく、私の耳に届いた。上向けていた顎を正面に戻し、右に回す。深い溝が幾つも刻まれた眉間に、限界まで引き延ばしたゴムのような口元、皺は多けれど笑い皺はあるまい。用心深く、父の横顔を盗み見た。唐突に、父が口を開いた。君は、将来何になりたいかね、遥か彼方の水平線を見つめたまま父は私に問うた。私と父が並んで立っているのを見つけた長兄と兄が、近づいてきた。

     何に、なりたいか、なぞ。あゝ、なんと滑稽なことを問うのだろう。私は何にもなりたくはなかった。精々枯れ木にぶら下がっている蓑虫に対してくらいは多少なりとも憧れに近い感情を持っていたかもしれないが、しかし、父は私の前でその蓑虫を蓑から摘み出し寒さ極まりない雪原へ放り投げるような人間であった。そもそも、蓑虫程度のモノにしか憧れを抱けないような性分になったのはこの冷酷な父とその父に理解の深い良き妻である母の所為である。あなた方が私の成すことに、一度でも眉を吊り上げなかったことがあっただろうか、否、私が口を開けば発する言葉を尽く否定するのがあなた方父母だ。何になりたいのかね、父のしわがれた声が頭の中で反響した。滑稽なことだ。

     「ぼくは、博士になりたいです」

    我ながら、なんと道化た返答をしたものだと思う。父を挟んで反対側で話を聞いていた中学生の長兄は、幼い私に対してあからさまに顔を顰めた。普段物を言わない弟が、いざ口を開けば頓狂な発言。この一言で長兄は増々私のこれからに不安を抱いたことであろう。(因みにもう一人の兄は死神博士にでもなるのか、と茶化してきた。)父はそうか、と一度もこちらに顔を向けずにただ一言呟いてそれっきり何も言わなかった。きっと私は一生博士になどなれまい、そう幼い私は確信した。私の欲するものは全て父母によって掻っ攫ってゆかれるのだから。取り立てて、博士になろうと思うたことはない。この投げやりな答えは私の諦観の表れであった。潮風が無くなり、途端に生暖かい空気があたりを満たした。脂汗を掻いていたのは、あのハッタリのような父との会話の所為ではなかろう。空には灰色の雲が、姿を現していた。

     それから何事もなく帰途に着き、珍しい穏やかな『おでかけ』は幕を閉じた。あの日、海で拾った陰雲を、私は今も大切に心に抱えている。

     

    #創作 #短編 / 1 Anmerkung
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  • kasayoichi published a text post Vor 1 Monat
    Nieselregen Prolog

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     「いいかい」

    病院の玄関ホールから外に出ると、大雨で冷え切った外気が耳や頬を鋭く刺激した。飴子が彼に応じて顔を上げると、彼は立ち止って自分より頭三つ分ほど小さな飴子を見下ろした。

    「君の面倒を見る、と言っても僕は仕事で忙しいから十分に君の相手をしてあげることはできない。」

    まあ君は見かけほど幼くはないからその必要はないだろうけどね、と少し顔を歪めて皮肉交じりに呟いた。

    「ゲストルームが一つ空いているから、部屋はそこを使ってくれ。あと君の生活に関して僕は一切干渉するつもりはない」

    背広の上着を羽織りながら泡雪は愛想なく続けた。

    「精々夕食くらいは作ってあげられるだろうけれど、僕は基本的に肉類は食べないから、もし食べたくなったら自分で買ってきてくれ」

    「それでも椰々子さんが入院している間、僕の家で過ごしたいというのなら来るといい」

    最後に彼はそう素っ気なく言って飴子に背を向けた。

    #創作 #連載 / 1 Anmerkung
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  • kasayoichi published a photo post Vor 1 Monat

     「これは・・・・・・キャンディ?」

    彼女が両手で抱えているのは、バラの花束のようにラッピングされた棒付飴の束。赤や黄色の色とりどりの包み紙、そして大きな青いリボン。昼食時間の教室には似つかわしくないほど可愛らしいものだった。束の中から一本、飴を引き抜いて、おひとつ、いかが、と包子に差し出した。

    「あぁ、有難う。えっと・・・・・・佐東、さん」

    彼女の名前はなんといっただろうか。入学してまだ一週間、クラスメイト全員の名前をはっきりと憶えているほど包子は周りに関心のある人間ではなかった。しかし、その心配は杞憂だったようで、『佐東さん』は小さく頷いた。

    「一人で、全部食べようとしたら、きっと虫歯になってしまう」

    佐東さんはそう呟くと少し困ったような顔をして、抱えたキャンディの束を見つめた。確かに、これの束を消費するために毎日キャンディを食べ続けるなぞ歯が浮く思いだ。

    「誰か一緒に食べてくれる人を探してみたらどう?」

    「そう、ね。岡倉さん、あと五本くらいいかが?」

    「それは遠慮する」

    Prolog

     「ただいま飴子。そういえば、あのキャンディの束はどうなったかな」

    泡雪は帰ってくるなり飴子に問うた。

    「お父さんにも食べてもらわないと減らない」

    そもそもこのキャンディの束を買ってきたのは泡雪だ。買った本人に食べてもらうのが筋であろう。飴子は束から三本、キャンディを抜き、泡雪に突き出した。

    「誰か食べてくれそうな人は見つかったかい?」

    「一人」

    「それは良かった」

    泡雪は、そう薄く笑ってキャンディの包み紙を剥がした。

    「飴子は高校生にしては小さいから、あれくらい目立つものを持っている方がよく覚えてもらえる」

    「冗談だよ」

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  • kasayoichi published a photo post Vor 1 Monat

     「ウィルヘルム、見て。こんなにたくさんひまわりが咲いているわ」

    目が眩むような真っ黄色を背にして、マーシャは子供のようにはしゃいでいた。たくさんのひまわりはまるで太陽のようで、そのいくつもの日差しにウィルヘルムは薄く瞼を閉じた。

    「Πодсолнечник!」

     白い光を背中から受けながら、マーシャが笑った。

    In den Sommerferien

     「ウィル、ウィル、帽子を被ってと言ったじゃない」

    目を開けると、アンナがホースを片手にウィルヘルムの顔を覗き込んでいた。ウィルヘルムの体は庭で横たわっており、その上ずぶ濡れだった。

    「太陽に中てられたのよ」

    水をかけたのはアンナだった。

    「熱射病、か」

    上半身を起こして、周りのひまわりを見上げた。

    『ひまわりよ!』

    マーシャの嬉しそうな声が、まだ頭に響いていた。ひまわりが好きな母は毎年夏を楽しみにしていた。

    「Sonnenblumen・・・・・・」

     ああ、今年もまたきれいに咲いているじゃあないか。ねぇ、お母さん。

     「ちょっと、ウィルヘルム、聞いているの?帽子を被って!」

    「わかってるよ」 

    ウィルヘルムは立ち上がり、顔に落ちてくる水滴を振り払いながら返事をした。

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  • kasayoichi published a photo post Vor 1 Monat

     「随分とたくさんの短冊を書いていたようだけど、一体どれ程の願い事があるっていうんだい?」

     七夕の短冊に制限枚数はないだろうけれど、人間は相変わらず欲に塗れているものだ、そう考えるとウィルヘルムはどうも「願い事」に対して嫌悪感を抱く。

    「あなたの分の短冊も書いてあげたわ。ウィルったらちっとも短冊を書こうとしないんだもの」

    アンナが呆れ顔で溜息をついた。

    「その僕の分の短冊には何て書いたんだい?そもそも君に僕の願い事なんてわかるはずがないだろう」

    「『僕の願い事が叶いますように』」

    ウィルヘルムは一瞬目を丸くして、それから吹き出すように笑った。それから二人で願い事が書かれた短冊を、一つずつ笹に下げていった。枝一杯の願い事の書かれた短冊を見ると、不思議と欲への嫌悪は消えていた。そうだ、余っていた短冊に、何か書いてやろう。

    「まったく、はじめからそう子供らしく願い事を書けばいいものを・・・・・・」

    「君だって子供だろう」

    「だから私はこんなにたくさん書いたじゃない?」

    アンナは得意げに笑う。

    Tanabata Sternenschau

    「・・・・・・で、何を書いたの?」

    「『アンナの願い事が叶いますように』」

    「私の二番煎じじゃないの」

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  • kasayoichi published a photo post Vor 1 Monat

    「金魚?」

    「ええ、金魚よ」

    家に帰ると透明な鉢の中に水が張られ、涼しげに泳ぐ魚とそれを楽しそうに眺める妻がいた。

    「私の収入はそんなに少ないか?」

    金魚は確か財福や豊饒の象徴だと知り合いが言っていた。つまり金魚を飼うということは黄色の財布を持ち歩くようなもので・・・・・・。

    「あら、ディートリヒ、それは中国での話よ。日本では夏の風物詩」

    「しかし、私の国でも『金持ちの娘と結婚』することを金魚を釣ったと言うのだが」

    「トサキンの魚言葉は『懸念事項』よ」

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  • kasayoichi published a photo post Vor 2 Monaten

    「アンナ、コーヒー飲まない?」

    「ミルクが入っているなら考えるわ」

    「成程。君がコーヒーでなくカフェ・オッレを所望していることはわかった」

    「ヴィルヘルム、あなたの身長が伸びない理由がわかったわ」

    Sie benimmt sich schon wie ein Erwachsener・・・・・・.

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  • kasayoichi published a photo post Vor 2 Monaten

    Schauer.

    #from eroica with love / 0 Anmerkungen
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  • kasayoichi published a photo post Vor 2 Monaten

    変態伯爵と笑わない少佐。

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  • kasayoichi published a photo post Vor 2 Monaten

    Glückwunsch zum Sieg Deutsch !

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  • kasayoichi published a photo post Vor 2 Monaten

    Das erst Tumblr !

    #Illustration / 0 Anmerkungen
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